ナガボナツハゼを取り巻く環境と近縁種との違い
さて、シリーズ3話目となりました。
シリーズ1~2はコチラから。
『ナガボナツハゼ』


とはいつ誰が発見し、普通の『ナツハゼ』や『アラボナツハゼ』とどう異なるのでしょう。
安藤 京子氏からいただいた資料(2013年10月18日)分によると
最初の発見は1899年、発見者は『梅村甚太郎』先生です。
1899年植物学雑誌17巻には、『梅村甚太郎』先生によって『ナガボナツハゼ』の以下の様な特性が報じられたと言います。
特徴(1) 同属のナツハゼに似ているが、花を付ける枝と葉に全く毛がない。
特徴(2) 繊毛が無い。
特徴(3) 花が付かない小枝の葉は疎毛がある。
特徴(4) 小花柄の長さは4~8cm。花は白花と赤花がある。
特徴(5) 花期は5月・暖帯湿地に稀に生える。
特徴(6) 三方原周辺に所々点在する。
特徴(4)より、白い方は『シロバナホナガ(ナガボ)ナツハゼ』赤い方を『アカバナホナガ(ナガボ)ナツハゼ』 と呼んだそうです。
それから69年を経、1968年浜松市植物同好会では以下の様な特性が報じられております。
特徴(1) ナツハゼに比べて、花序の苞は紙質で葉は楕円形で先が尖る。
特徴(2) 葉・枝・花序はほとんど無毛で上面は光沢があり、脈上にわずかな細毛がある。
特徴(3) 台地の日当たりの良い湿地やその周辺で見かける。
特徴(4) 分布域は三河各地から三方原台地の東斜面まで。
特徴(5) 最初の採集者は1899年 梅村甚太郎先生。
これらの情報では、かなり『ナツハゼ』とは特徴が異なり、葉の特徴だけから言うと、ラビットアイに近い感じがしますね。
さらに、長年環境保全の仕事に携わって来られた安藤 京子氏の環境保全時の観察によると、『アラゲナツハゼ』との大きな違いは夏の暑さによる耐性の違いを指摘されています。『ナガボナツハゼ』の方がはるかに強いそうです。
また、安藤 京子氏は、その一帯にある赤松と『ナガボナツハゼ』について密接な関係がある様だと言われます。
彼女の調査の結果、赤松の松の葉やマツボックリはPH試験でPH4.5くらいの酸性を示すそうです。
そんな松の葉が敷き詰められた土壌である三方原台地にブルーベリーの近縁種である『ナツハゼ』や『ナガボナツハゼ』がよく生育していました。
他にも野生のききょう・おみなえし・春りんどう・すみれのアザミ・オカトラノオ・萩・オトギリ草・スズメカルカヤ・ウンヌケモドキ・トンボ草・金欄・笹ゆりなどが自生しておりました。
ところが、前の記事でも書きました様に、戦後食料増産の為に開発する際に処分された以外にも、この三方原台地の環境に大きな変化がありました。
今から7年前の2007年秋、三方原台地は、松くい虫の被害により赤松、黒松がどんどん枯れてしまいました。
黒松は赤松よりも松くい虫に対する耐性がある、という事で赤松に代わって植樹されていた経緯がある様ですが、それでも松くい虫の猛威には敵わなかった様です。
この松くい虫の被害後、三方原台地は、貴重な『ナガボナツハゼ』のみでなく、一部の地域では野生ききょうまでもが消滅しました。
地震・津波対策で高台になるこの地域に開発が入って、以前の
特徴(3) 台地の日当たりの良い湿地やその周辺で見かける。と言う地域は、
は、すっかり容貌を変え、住宅街になってきています。
『ナガボナツハゼ』を取り巻く環境はますます厳しいものになって来ました。
写真・情報提供: 安藤 京子氏
(2014年8月16日 いただいたお手紙とメールに添付していただいた画像データからの抜粋です)
シリーズ1~2はコチラから。
『ナガボナツハゼ』


とはいつ誰が発見し、普通の『ナツハゼ』や『アラボナツハゼ』とどう異なるのでしょう。
安藤 京子氏からいただいた資料(2013年10月18日)分によると
最初の発見は1899年、発見者は『梅村甚太郎』先生です。
1899年植物学雑誌17巻には、『梅村甚太郎』先生によって『ナガボナツハゼ』の以下の様な特性が報じられたと言います。
特徴(1) 同属のナツハゼに似ているが、花を付ける枝と葉に全く毛がない。
特徴(2) 繊毛が無い。
特徴(3) 花が付かない小枝の葉は疎毛がある。
特徴(4) 小花柄の長さは4~8cm。花は白花と赤花がある。
特徴(5) 花期は5月・暖帯湿地に稀に生える。
特徴(6) 三方原周辺に所々点在する。
特徴(4)より、白い方は『シロバナホナガ(ナガボ)ナツハゼ』赤い方を『アカバナホナガ(ナガボ)ナツハゼ』 と呼んだそうです。
それから69年を経、1968年浜松市植物同好会では以下の様な特性が報じられております。
特徴(1) ナツハゼに比べて、花序の苞は紙質で葉は楕円形で先が尖る。
特徴(2) 葉・枝・花序はほとんど無毛で上面は光沢があり、脈上にわずかな細毛がある。
特徴(3) 台地の日当たりの良い湿地やその周辺で見かける。
特徴(4) 分布域は三河各地から三方原台地の東斜面まで。
特徴(5) 最初の採集者は1899年 梅村甚太郎先生。
これらの情報では、かなり『ナツハゼ』とは特徴が異なり、葉の特徴だけから言うと、ラビットアイに近い感じがしますね。
さらに、長年環境保全の仕事に携わって来られた安藤 京子氏の環境保全時の観察によると、『アラゲナツハゼ』との大きな違いは夏の暑さによる耐性の違いを指摘されています。『ナガボナツハゼ』の方がはるかに強いそうです。
また、安藤 京子氏は、その一帯にある赤松と『ナガボナツハゼ』について密接な関係がある様だと言われます。
彼女の調査の結果、赤松の松の葉やマツボックリはPH試験でPH4.5くらいの酸性を示すそうです。
そんな松の葉が敷き詰められた土壌である三方原台地にブルーベリーの近縁種である『ナツハゼ』や『ナガボナツハゼ』がよく生育していました。
他にも野生のききょう・おみなえし・春りんどう・すみれのアザミ・オカトラノオ・萩・オトギリ草・スズメカルカヤ・ウンヌケモドキ・トンボ草・金欄・笹ゆりなどが自生しておりました。
ところが、前の記事でも書きました様に、戦後食料増産の為に開発する際に処分された以外にも、この三方原台地の環境に大きな変化がありました。
今から7年前の2007年秋、三方原台地は、松くい虫の被害により赤松、黒松がどんどん枯れてしまいました。
黒松は赤松よりも松くい虫に対する耐性がある、という事で赤松に代わって植樹されていた経緯がある様ですが、それでも松くい虫の猛威には敵わなかった様です。
この松くい虫の被害後、三方原台地は、貴重な『ナガボナツハゼ』のみでなく、一部の地域では野生ききょうまでもが消滅しました。
地震・津波対策で高台になるこの地域に開発が入って、以前の
特徴(3) 台地の日当たりの良い湿地やその周辺で見かける。と言う地域は、
は、すっかり容貌を変え、住宅街になってきています。
『ナガボナツハゼ』を取り巻く環境はますます厳しいものになって来ました。
写真・情報提供: 安藤 京子氏
(2014年8月16日 いただいたお手紙とメールに添付していただいた画像データからの抜粋です)
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