ナガボナツハゼの花(2)

ナガボナツハゼもシリーズ5作目となりました。
今回、静岡県で長年ナガボナツハゼの研究と保護をされている安藤 京子氏より、先日貴重な写真をいただきましたので、記事を追加いたします。

ナガボナツハゼの四季を通しての生態の記録を研究したものはほとんどありません。これはナガボナツハゼの貴重な資料のひとつとも言える画像です。

写真提供:安藤 京子氏
2014年11月7日撮影

ナガボナツハゼの果実と秋の花
最初の花は5月に開花しますが、秋~冬にかけても順次開花することがあるそうです。

20141107撮影_9897(果実と花)

結果枝と結果枝についた葉っぱには繊毛がありません。
花の形はナツハゼにそっくりです。
しかし、花弁の色と質感はブルーベリーに類似しています。
普通の枝には左右交互に葉っぱが付くのに対し、結果枝には左右対称形の葉っぱが付き、花も左右対称に付きます。

20141107撮影_9897(花芽と花)

11月には5月に開花した花の実が色付き、熟してきます。

20141107撮影_9909(拡大)

花が付く枝と花が付かない枝の比較。
花が付かない枝の葉には疎毛があります。(ブルーベリーの実生にもよく現れる特性)

20141107撮影_9897(葉と茎)

木化した主軸はシャシャンボに類似しています。
普通の枝から出た結果枝は一気に伸びています。
比較としてナガボナツハゼの花を拡大したものと5月に撮影した1固体(安藤氏命名M-12)の全体画像、ナツハゼの花の画像、ブルーベリーの花の画像をご覧下さい。

20141107撮影_9897(拡大)

ブルーベリーの様な白い花びら。ナツハゼの花の形。シャシャンボの様な鈴なりのつぼみ。しかもナツハゼよりも耐暑性を持つ。ナガボナツハゼは本当に面白い進化をしています。そして独自の進化をとげつつ、固体差が大きい。
この固体差が大きい特徴はシャシャンボやブルーベリーの系統を受け継ぐのであろうかと思います。

これらナガボナツハゼの情報に固体別の実の断面図があればさらに面白いことでしょう。

前回の記事で

特徴(1) 同属のナツハゼに似ているが、花を付ける枝と葉に全く毛がない。
特徴(2) 繊毛が無い。
特徴(3) 花が付かない小枝の葉は疎毛がある。
特徴(4) 小花柄の長さは4~8cm。花は白花と赤花がある。
特徴(5) 花期は5月・暖帯湿地に稀に生える。
特徴(6) 三方原周辺に所々点在する。

と入れましたがさらに加えるべき特徴がありましたので、ここに追記、修正をしたいと思います。

特徴(1) 同属のナツハゼに似ているが、花を付ける枝と葉に全く毛がない。
特徴(2) 繊毛が無い。⇒ 花を付けない枝には
特徴(3) 花が付かない小枝の葉は疎毛がある。
特徴(4) 小花柄の長さは4~8cm。花は白花と赤花がある。
特徴(5) 花期は5月・暖帯湿地に稀に生える。
特徴(6) 三方原周辺に所々点在する。
特徴(7) 花弁の形状は同属のナツハゼに似ているが、花弁の色や質感はブルーベリーに類似している。・・・・追記(20141125)
特徴(8) 果実の形状はブルーベリーに類似し、顎の形はブルーベリーの様に五芒星のものがある。 ・・・・追記(20141125)
特徴(9) 2倍体である。・・・・追記(20141125)
特徴(10)普通の枝には左右交互に葉っぱが付くのに対し、結果枝には左右対称形の葉っぱが付き、花も左右対称に付く。
・・・・追記(20141125)
特徴(11)開花は5月頃と11月頃。5月開花したものは10~11月下旬くらいに色付く。収穫期はシャシャンボとほぼ同じ。
・・・・追記(20141125)


**情報提供者:安藤京子氏
  編集、追記:藤元 やよい(西南暖地ブルーベリー研究会)

浜松市には「ながぼなつはぜを守る会」安藤京子氏を蔭で支えられている存在があります。
『京都大好き隆ちゃん』さんのブログです。
こちらでも浜松でのナガボナツハゼの保護の様子が伺えます。

貴重な日本のブルーベリーの近縁種、これからも是非大切に保護し育てていただきたいものです。

安藤 京子様、たくさんの情報提供をいただき、本当にありがとうございました。m(_ _)m
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『ナガボナツハゼ』の花

日本のブルーベリーの原種に興味がおありの皆様、大変お待たせしました。

以前までの記事は、『ナガボナツハゼ』のカテゴリーからご覧下さいね。

いよいよ謎のベールが・・
安藤 京子様より大変貴重な画像をご提供いただきました。

ナガボナツハゼ』には『シロバナナガボナツハゼ』と『アカバナナガボナツハゼ』があると以前教えていただきました。
安藤様がこれまで地域の自然の保全作業で大切にしてこられたナガボナツハゼには、しろ、赤以外に桃色もあることがわかりました。

何だか、ブルーベリーのご先祖様みたい。手を合わせたくなる様なお話です。

私は、ナガボナツハゼが一体、いつ、どんな花を咲かせるのか興味津々でした。

以下、画像が少し大きいので、ブログに納まるサイズにしています。
お手数ですが、写真をクリックして拡大してご覧下さいね。
可愛い花がたくさん付いています。ナツハゼの近い種のはずなのに、実には白いブルームがあるんです。もうびっくりです。

『ナガボナツハゼ』 白花 と 実
写真提供:安藤 京子氏
M-8 白花
実 2013年9月26日撮影
花 2014年5月9日

M-8白花


『ナガボナツハゼ』 赤花 と 実
写真提供:安藤 京子氏

M-7 赤花
実 2013年9月25日撮影
花 2014年5月8日 撮影

M-7赤花なつはぜとの交雑が強い固体

『ナガボナツハゼ』 桃色花 と 実
写真提供:安藤 京子氏

M-12 桃色花
実 2013年9月8日撮影
花 2014年5月9日

M-12ナガボナツハゼの桃色花

ちなみに比較のために、同じく日本のブルーベリーと言われる原種 
シャシャンボ』 花 と 実
写真:Reveille撮影
シャシャンボ
実 2013年12月27日撮影
花 2013年6月29日

シャシャンボ

同じく日本のブルーベリーと言われる原種 
『ナツハゼ』 の 花 と 実
写真:Reveille撮影
ナツハゼ
実 2012年9月21日撮影
花 2011年4月30日

ナツハゼ

今年の写真です。
写真提供:安藤 京子氏
撮影日2014年9月26日

ナガボナツハゼの、きらり花かんざし

写真提供:安藤 京子氏
撮影日2014年8月26日

ナガボナツハゼの鉢栽培のおおきい実

これを見ると、『ナガボナツハゼ』と『ナツハゼ』は、葉っぱの形は似ていますが、花も実も全く異なるものであることがよくわかります。

本当に『ナガボナツハゼ』は、収穫期までラビットアイに近い近縁種なのですね。

写真提供、及び貴重な情報をいただいております安藤 京子様には、本当に感謝・感謝です。m(_ _)m

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ナガボナツハゼを取り巻く環境と近縁種との違い

さて、シリーズ3話目となりました。

シリーズ1~2はコチラから。

『ナガボナツハゼ』

IMG_7999.jpg

IMG_8033.jpg


とはいつ誰が発見し、普通の『ナツハゼ』や『アラボナツハゼ』とどう異なるのでしょう。

安藤 京子氏からいただいた資料(2013年10月18日)分によると

最初の発見は1899年、発見者は『梅村甚太郎』先生です。

1899年植物学雑誌17巻には、『梅村甚太郎』先生によって『ナガボナツハゼ』の以下の様な特性が報じられたと言います。

特徴(1) 同属のナツハゼに似ているが、花を付ける枝と葉に全く毛がない。
特徴(2) 繊毛が無い。
特徴(3) 花が付かない小枝の葉は疎毛がある。
特徴(4) 小花柄の長さは4~8cm。花は白花と赤花がある。
特徴(5) 花期は5月・暖帯湿地に稀に生える。
特徴(6) 三方原周辺に所々点在する。

特徴(4)より、白い方は『シロバナホナガ(ナガボ)ナツハゼ』赤い方を『アカバナホナガ(ナガボ)ナツハゼ』 と呼んだそうです。

それから69年を経、1968年浜松市植物同好会では以下の様な特性が報じられております。

特徴(1) ナツハゼに比べて、花序の苞は紙質で葉は楕円形で先が尖る。
特徴(2) 葉・枝・花序はほとんど無毛で上面は光沢があり、脈上にわずかな細毛がある。
特徴(3) 台地の日当たりの良い湿地やその周辺で見かける。
特徴(4) 分布域は三河各地から三方原台地の東斜面まで。
特徴(5) 最初の採集者は1899年 梅村甚太郎先生。

これらの情報では、かなり『ナツハゼ』とは特徴が異なり、葉の特徴だけから言うと、ラビットアイに近い感じがしますね。

さらに、長年環境保全の仕事に携わって来られた安藤 京子氏の環境保全時の観察によると、『アラゲナツハゼ』との大きな違いは夏の暑さによる耐性の違いを指摘されています。『ナガボナツハゼ』の方がはるかに強いそうです。



また、安藤 京子氏は、その一帯にある赤松と『ナガボナツハゼ』について密接な関係がある様だと言われます。

彼女の調査の結果、赤松の松の葉やマツボックリはPH試験でPH4.5くらいの酸性を示すそうです。
そんな松の葉が敷き詰められた土壌である三方原台地にブルーベリーの近縁種である『ナツハゼ』や『ナガボナツハゼ』がよく生育していました。
他にも野生のききょう・おみなえし・春りんどう・すみれのアザミ・オカトラノオ・萩・オトギリ草・スズメカルカヤ・ウンヌケモドキ・トンボ草・金欄・笹ゆりなどが自生しておりました。

ところが、前の記事でも書きました様に、戦後食料増産の為に開発する際に処分された以外にも、この三方原台地の環境に大きな変化がありました。

今から7年前の2007年秋、三方原台地は、松くい虫の被害により赤松、黒松がどんどん枯れてしまいました。
黒松は赤松よりも松くい虫に対する耐性がある、という事で赤松に代わって植樹されていた経緯がある様ですが、それでも松くい虫の猛威には敵わなかった様です。

この松くい虫の被害後、三方原台地は、貴重な『ナガボナツハゼ』のみでなく、一部の地域では野生ききょうまでもが消滅しました。
地震・津波対策で高台になるこの地域に開発が入って、以前の

特徴(3) 台地の日当たりの良い湿地やその周辺で見かける。と言う地域は、

は、すっかり容貌を変え、住宅街になってきています。
『ナガボナツハゼ』を取り巻く環境はますます厳しいものになって来ました。


写真・情報提供: 安藤 京子氏
(2014年8月16日 いただいたお手紙とメールに添付していただいた画像データからの抜粋です)

『ナガボナツハゼ』(その2)自生地


安藤 京子氏は、『ナガボナツハゼ』の自生している場所について、お手紙にこう綴っていらっしゃいます。

三方原台地に自生する『ナガボナツハゼ』は世界中で愛知の一部と三方原台地の東端までしか自生がありません。と。
そんな『ナガボナツハゼ』の自生地とは、どんなところなのでしょうか。


三方原台地は名前の通り、三方が水に囲まれた赤黄色のPH4.5の酸性土壌です。
(ブルーベリーの類にはぴったりのPHですね。)

ブルーベラーなら、きっと羨ましい様な地域ですね。^ ^

昔は、その一体にいっぱい『ナガボナツハゼ』が生えており、地元のご年配の方からのお話から、

『インクモモ』『アンコロモチ』と言う名で呼ばれておりました。
紫に白い粉を吹いているナガボの状態を表現しているらしく、あまり美味しくはないが、おかし代わりに口を紫にして食べたよ。とのこと。

また、『ナガボナツハゼ』の花は、『花かんざし』と言って、子供の髪飾りにしていたそうです。

『花かんざし』の実

ナガボナツハゼの実_20140823_225651

それが、なぜ現在絶滅の危機に陥っているのか・・。

それは、昭和21年に戦後の食料増産の為に開拓者が三方原台地に入り、『ナガボナツハゼ』を取り払い、処分して開拓したからです。戦後の食糧難には仕方のないことだったことと思います。

現在に至っては、東海地震の回避の為、南部の海岸寄りの方が三方原台地に家を建てるなど、開発の名の下に三方原台地の自然体系がどんどん崩れていっている状態です。

絶滅の危惧種になっているにも関わらず、絶滅を防ぎようがない状態になりつつある『ナガボナツハゼ』。

そこで、長年環境保全の仕事に携わって来られた安藤 京子氏は、その一帯にある赤松と『ナガボナツハゼ』について密接な関係がある様だと言われます。

続きは次回。(^m^)

『ナガボナツハゼ』(その1)

15万アクセス突破を記念して、ブルーベリーのサイトらしくブルーベリーの話題で。
特に今回は、ブルーベリーの中でも日本の野生ブルーベリーのひとつである珍しい『ナガボナツハゼ』のシリーズを書いていこうと思います。

『ナガボナツハゼ』は、
スノキ亜属 Subgenus Vaccinium
ナツハゼ節
ナガボナツハゼ

ブルーベリーの中には日本のブルーベリーと呼ばれているものの中に『シャシャンボ』や『ナツハゼ』などがあります。

一般的なナツハゼの実はこんな感じ。

ナツハゼ

幼果の時は緑色ですが、途中から緑と紫のツートンカラーになり、完熟期になると真っ黒になります。

ここまではブルーベリーマニアなら常識。

『ナツハゼ』には、『ナツハゼ』『アラゲナツハゼ』『ナガボナツハゼ』がある、これもマニアなら常識。(本当か・・?)

では、ここから先のさらに突っ込んだ情報で、『ナガボナツハゼ』にも個体差色々あって源氏名のあるものが存在するってご存知ですか?
今日は、そんな超マニアックな話題。お好きな方だけどうぞ読んで下さいませ~。


「ナガボナツハゼを見たことがありますか?」

「日本のどこにあるか、ご存知ですか?」

「普通のナツハゼとどう違うのですか?」

こんな疑問に全て答えて下さる方が日本にいます。

浜松市三方原台地日本の野生ブルーベリーながぼなつはぜの里

の『ナガボナツハゼの母』

安藤 京子氏です。^ ^

彼女は現在、命がけで『ナガボナツハゼ』を絶滅の危機から救おうと、同士と共に頑張っていらっしゃいます。

この夏、ご縁があって彼女から『ナガボナツハゼ』に関するたくさんの情報をいただきました。
日本の宝、『ナガボナツハゼ』の全貌を少しづつアップしますので、このサイトにお越しくださる皆様には『ナガボナツハゼ』博士になっていただきますわ~。^ ^

今日は、まず皆様に『ナガボナツハゼ』の入門編。
最低限、知っておいて欲しい『ナガボナツハゼ』の幼果や果実を見ていただきましょう。

ナガボナツハゼの実_IMG_7616.jpg

IMG_7621.jpg


ナガボナツハゼの実_MG_7182.jpg


ナガボナツハゼの実_IMG_7179.jpg

ナガボナツハゼの実_IMG_7180.jpg

いかがでした?
かなりチャーミングだと思いませんか?
そして、個体差が色々ありますね。

日本のブルーベリーと呼ばれているものの中で、こんな綺麗にブルーム(果粉)がある固体はこの浜松の『ナガボナツハゼ』だけかも知れません。(もしも他にもあるよ、って言う情報をご存知の方がいらしたらご連絡下さい)

現在、『ナガボナツハゼ』は、絶滅危惧1-Aに指定されています。

アントシアニン量は普通のブルーベリーの約2倍。しかもシャシャンボが8~9mmでも大実なのに、ナツハゼの中でもこの『ナガボナツハゼ』は最大果で13mmと言うのもあります。

源氏名 『遥太郎(はるたろう)』 2008年発見

ナガボナツハゼの実_1408802248268.jpg

源氏名 『花のかんざし』 2008年発見

ナガボナツハゼの実_20140823_225651

写真提供:発見者共に浜松の安藤 京子氏です。

私は、一番最後の写真、『花のかんざし』がとても気に入りました。

発見された年、地域などはまた次回。お楽しみに。(^ ^)/
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